【後学期,1~2年,比較,2単位,,文教育学部1号館308室】〔ゆるやかな歴史と文学との関係の構築〕  一昨年度(2020年度)前後期、昨年度(2021年度)後期にひき続き、歴史の流れをたどりながら、平安文学の諸相を考えます。今期は、昨年度後期と重なりますが、陽成天皇退位から宇多天皇の時代までを扱う予定です。
【前学期,1~2年,比較,2単位,,共通講義棟1号館401室】〈平安時代文学作品伝本の表記をめぐる諸問題─定家の仮名遣いは存在するか〉
 近年、インターネット上にアップロードされている、日本の古典籍の画像の充実ぶりは瞠目すべき状況にあります。この授業では、受講者のみなさんが、仮名遣いの面から、この伝本(写本/版本)には、このような特徴があるよと語れるようになることを目標とします。モニター、スクリーン、あるいはプリントアウトした紙の上に映る伝本画像について、音読・翻字するのはもちろんのこと、それ以上に何かを解説するための観点として、歴史的仮名遣いに合致しない箇所の存在は、活字本と異なる事象として指摘しやすい着目点となるからです。平安時代の文学作品の伝本場合は特にそのようであると思われます。
 そこで、この授業では、歴史的仮名遣いについて確認した後に、藤原定家自身の仮名遣い(定家の仮名遣い)及びいわゆる定家仮名遣いに関連して、従来の仮名遣い研究、表記史研究に関する諸説について考察していくことを予定しています。
 授業者は、定家の仮名遣いは存在しなかったけれども、その後の行阿(源知行)やその後継者たちの著作によって、定家仮名遣いは形成されたと把握するのが適当であろうと考えます。ただし、半期の授業で、南北朝時代以降についてまで詳細に扱うことはかなわないと思われます。
 また、もとよりこの授業は日本語学の授業ではなく文学の授業であり、授業者の専門も文学であります。仮名遣い、表記史の研究の最前線を扱うのではなく、文学研究者でもこの程度は扱えるのがよいという線を手探りしながら進めたいと存じます。
 さらに、授業者の能力の問題として、仮名遣い、表記史の問題のみを扱って講義を続けることは困難でありますので、定家本の伝本の一つ、藤原定家筆『定頼集』を取り上げて、表記に注意しつつ内容の読解をすることを、並行して進めたいと存じます。
【前学期,1~2年,比較,2単位,,文教育学部1号館503室】【現代日本語研究の資料論】
 現代語研究の資料と言えば、現在では国立国語研究所を中心とする、飛び抜けて大きなコーパスが利用できるようになったために、何でも当該のコーパスに頼るようになっている。しかし、身近なものでも考え方によっては研究資料として使うことができる。言葉は社会のいろいろな場面で使われており、それぞれの使用の状況を知り得る資料が存在する。そうした視点から、「こんなものも資料として使えるのではないか」という可能性を考えてみたい。
【後学期,1~2年,比較,2単位,,文教育学部1号館303室】【重要】新型コロナウィルス対応の状況によっては、授業内容に変更の生ずることがある。

【十六夜日記序と巻末長歌を読む】
十六夜日記は阿仏尼の作品であることは誰でも知っていると思うが、それが「歌道家を代表として担う女性による、その立場の主張」だということはあまり理解されていないのではないだろうか。他にこれに類似する資料は存在しない。その点が最もよく現れているのは、序文と巻末長歌(日記とは別個に成立したかと考えられている)であろう。そうした面に注目して読んでいきたい。
【前学期,1~2年,比較,2単位,,文教育学部1号館303室】【重要】新型コロナウイルス対応のため、この授業の形態・素材は大きく変わる可能性がある。何かあったらメールで連絡するので、履修者・出席者は浅田までメールのこと(asada.toru@ocha.ac.jp)。

【応仁の乱と心敬】
応仁の乱は京都という都市と、そこに暮らす人々の生活を破壊した。連歌の歴史の中で最高の作者とも言われる心敬は、不穏な京都を離れて関東武士の招請により武蔵国に移住するが、その時大乱が勃発して、もはや京都に帰ることはできなくなる。「ひとりごと」「老のくりごと」はそのような状況下の心敬が著した連歌論書で、この演習ではそれぞれの序文にあたる部分を読みたい(連歌論の本体ではないことに注意)。また、講義を途中に挟むが、応仁の乱による影響が和歌文学にどのように現れているかについて、いくつかの資料を挙げて照会する予定である。全体としては、軍記物語の言うような活劇などとは異なる、文化の最大の破壊者としての戦争について理解してもらいたいと考える。
【後学期,1~2年,比較,2単位,,文教育学部1号館303室】『補忘記』を研究する。『補忘記』とは、真言宗真義派の根来寺における論議の参考書である。貞享版と元禄版がある。筆者(観応)が、当時の京都アクセントを学習するために必要な基本的語彙を採録したものと見られており、中近世のアクセント資料としてしばしば用いられるものである。ここには「徴(ち)」「角(かく)」と呼ばれる節博士(アクセント記号)が用いられており、漢語や和語のアクセントを知ることができる他、漢語の清濁、半濁音、唇音、促音化などを知るうえで重要な資料である。
先行研究としてはすでに桜井茂治、金田一春彦、上野和昭などのものがあるが、それらを参照しつつも、新たな知見の発見を目指して調査を行う。また大正大学に保存されている他の論議書も調査資料に用いて、『補忘記』との違いを明らかにする。

目標)
①『補忘記』を正しく読解することができるようになる。
②先行研究を精読し、残された問題点を炙り出すことができる。
③ ①と②を踏まえつつ、新たな知見を『補忘記』から導き出すことができる。
【前学期,1~2年,比較,2単位,,文教育学部1号館303室】『補忘記』を研究する。『補忘記』とは、真言宗真義派の根来寺における論議の参考書である。貞享版と元禄版がある。筆者(観応)が、当時の京都アクセントを学習するために必要な基本的語彙を採録したものと見られており、中近世のアクセント資料としてしばしば用いられるものである。ここには「徴(ち)」「角(かく)」と呼ばれる節博士(アクセント記号)が用いられており、漢語や和語のアクセントを知ることができる他、漢語の清濁、半濁音、唇音、促音化などを知るうえで重要な資料である。
先行研究としてはすでに桜井茂治、金田一春彦、上野和昭などのものがあるが、それらを参照しつつも、新たな知見の発見を目指して調査を行う。また大正大学に保存されている他の論議書も調査資料に用いて、『補忘記』との違いを明らかにする。

目標)
①『補忘記』を正しく読解することができるようになる。
②先行研究を精読し、残された問題点を炙り出すことができる。
③ ①と②を踏まえつつ、新たな知見を『補忘記』から導き出すことができる。
【後学期,1~2年,比較,2単位,,文教育学部1号館513室】本居宣長の文学・語学両面にわたる研究業績について、その概要を学ぶ。江戸時代に勃興した「実証的研究」の最も優れた存在は宣長であり、その業績は現在もなお大きな影響を与えている。彼の学問の質について、実際に著作を読みながら批判的に考察する。
【後学期,1~2年,比較,2単位,,文教育学部1号館306室】現代の外来語について、その歴史や研究史を踏まえた上で、それぞれの専門分野からアプローチし、議論を重ねることで、その使用実態を明らかにすることを目標とする。
【前学期,1~2年,比較,2単位,,文教育学部1号館301室】この授業では、ここ十数年の日本近現代文学研究において、ある種の強力なトレンドを形成したと言ってよいカルチュラル・スタディーズの方法論を体得するために、すでに評価の定まった重要なカルチュラル・スタディーズ関係の学術書を講読していきます。現段階では、授業計画に記した書籍を想定していますが、実際には受講生の皆さんと相談しつつ、各々の需要に合わせて柔軟に対応できればと思っています。
【前学期,1~2年,比較,2単位,,共通講義棟1号館205室】伊藤整『日本文壇史』を輪読する。今期は第1巻を対象とし、明治開化期の文壇事情について理解を深める。加えて文献調査や資料の読み込みの力を養うことも目標とする。
【後学期,1~2年,比較,2単位,,共通講義棟1号館205室】伊藤整『日本文壇史』を輪読する。今期は第2巻を対象とし、明治開化期の文壇事情とメディア環境について理解を深める。加えて文献調査や資料の読み込みの力を養うことも目標とする。
【前学期,1~2年,比較,2単位,,文教育学部1号館306室】読本『蜑捨草』(流霞窓広住作)を読む。作品の素材や形成方法を捉えながら解読することにより、近世後期文学の重要な位置にある読本の様式・特質を理解する。
【後学期,1~2年,比較,2単位,,文教育学部1号館306室】近世文学と出版文化について学ぶ。出版史学・日本書誌学に関する知識も習得する。江戸時代における文学作品の形成について、その環境となる文化史の諸相とあわせて理解することを目指す。
【後学期,1~2年,比較,2単位,,文教育学部1号館301室】この演習では、西欧圏の文学理論に関する著名な教科書を講読した後、いわゆる査読付きの学会誌に掲載されている先端的な学術論文の検討を通じて、皆さん自身の研究テーマを形にするための場を設定できればと思っています。各論文の問題意識や分析概念の妥当性を討議したうえで、そこにどのような応用の可能性があるのかを、皆さんとの対話を通じて考察していきます。